歯科衛生士として働いていると、仮歯(TEK)の製作って意外と大きな壁になりますよね。
「模型で練習しても、マージンが上手く出ない…」
「実践で覚えようにも、患者さんに迷惑がかかってしまう気がして焦る」
「なかなか形が作れなくて、時間ばかりかかってしまう」
「作る機会が少なくて、いつまでも自信が持てないまま」
こういった悩みを抱えている方、実はとても多いんです。作る機会が少ないまま苦手意識だけが積み重なって、できないままになってしまう衛生士さんも少なくありません。
今回は、TEK製作のなかでも一番の肝であるマージン合わせを中心に、実践的なポイントをまとめました。
そもそもTEKとは?
TEKとは「Temporary EMergency Crown」の略で、いわゆる仮歯・仮冠のことです。補綴治療の途中、最終的なクラウンが入るまでの間、歯を保護したり審美性を保つために使います。
歯科衛生士がTEKの製作や調整を担当することも多く、スピードと精度の両立が求められます。
歯科衛生士が行うTEKの特徴
歯科衛生士が行うTEKは、ドクターが支台歯形成した直後の口腔内で直接製作します。
使用する材料・方法は主に3つです。
- 既成冠を使用する方法(前歯部に多い):既製品の仮歯を支台歯に合わせて調整する
- 即時重合レジンで団子TEKを作る方法:レジンを練和し、支台歯に直接盛り付けて形を作る
- 技工士製作のTEKをもとに合わせる方法:技工士さんに作ってもらったTEKをシェルとして使い、支台歯に合わせてレジンを填入して製作する
マージン合わせが一番の肝!その理由
TEK製作で最も重要なのが、マージン(歯肉縁)の適合です。マージンがきちんと合っていないと…
- 歯肉への刺激・炎症の原因になる
- セメントの溶出が起きやすくなる
- 二次う蝕のリスクが上がる
- 患者さんの違和感・不快感につながる
逆にマージンがしっかり合っていれば、仮歯の期間中も歯肉の状態を安定させることができ、最終補綴物の印象精度にも影響します。
団子TEKの基本ステップ
1. ワセリンを塗る
支台歯と周囲の歯にワセリンを薄く塗ります。レジンが歯面に直接くっつかないようにするための離型剤として使用します。
2. 即時重合レジンを練和して支台歯に被せる
レジンを団子状に練和し、支台歯の上に被せて形を整えます。このとき硬化中に発熱するため、患者さんに「少し熱くなることがあります」と声がけして不快感を最小限に抑えましょう。
3. 硬化のタイミングに注意
レジンが硬化するまで何度も出し入れします。ある程度硬化したらお湯に入れます。早すぎる段階でお湯に入れると膨張して支台歯に入らなくなることがあるので要注意です。
4. マージン確認&調整
ここが最大のポイントです。
チェックのコツ:
- マージンラインの内側を鉛筆でなぞる
- 歯頸部にぴったり沿っているか確認する
- 短い・長いどちらの方向にずれているかを見極める
調整の方法:
- 長い(オーバー)→ カーバイドバーやフィッシャーバーで削合
- 短い(アンダー)→ 即時重合レジンを筆で追加して再調整

5. 歯牙の形に整える
自然な歯の形に近づけるよう形態を整えます。隣接面・切縁・咬合面のバランスを意識しながら削合しましょう。(反対側の歯牙を参考に!)
6. 咬合調整
咬合紙(アーティキュレーティングペーパー)で咬合を確認。咬合が高くならないようにするのが基本です。咬合が高いと患者さんの噛み合わせに負担がかかるのでしっかり確認しましょう。
7. 研磨・仕上げ
粗研磨→仕上げ研磨の順で表面を整えます。表面が粗いとプラークが付着しやすくなるため、しっかり仕上げましょう。
TEK製作の3大チェックポイント
- マージンが合っているか
- 歯牙の形になっているか
- 咬合が高くなっていないか
この3点を意識するだけで、TEKの質がぐっと上がります。
上達のための練習法
最初は模型で練習するのが基本ですが、模型はマージンが上手く出にくく、慣れるまでが大変です。かといって実践で覚えようとすると患者さんに負担をかけてしまうし、作成機会自体が少ないのもつらいところ。
だからこそ、イメージトレーニングと模型練習を組み合わせることが大切です。
技工士さんの動画で学ぶ
YouTubeには歯科技工士さんが解説するTEK製作動画が公開されています。手の動かし方、レジンの扱い、マージンの見方など、文章ではわかりにくいポイントが視覚的に学べます。
時間がとれないときでも、通勤中や休憩中に動画を見るだけでもイメージトレーニングになります。
石膏模型で反復練習
模型でのマージン合わせは難しいですが、繰り返すことで手の感覚が身についてきます。特にマージンのステップだけを集中して練習するのが効率的です。
先輩や技工士さんに見てもらう
自己流になりがちなので、定期的にフィードバックをもらうことも大切です。
まとめ
TEKは作る機会が少なく、なかなか上達できないと感じている衛生士さんはとても多いです。新人の頃は、なかなか上達しなくて時間ばかりがかかっていました。でも、何を意識して練習すればいいかを知っているだけで、少ない機会でも着実に上達できます。
- マージン合わせが最重要
- 粉と液の分量と混ぜるタイミングを体で覚える
- 咬合が高くならないよう意識する
- 動画でイメトレ+模型で実践練習
焦らず少しずつ積み重ねていきましょう。練習あるのみです!あなたの丁寧な仮歯が、患者さんの快適な治療期間を支えています。
この記事が少しでも参考になれば嬉しいです。
復職して団子TEKを作る機会が多くなってきたとき、臼歯の咬合面の裂溝を上手く作れなかったため、参考にした動画を紹介します。

