パートDHこんにちは、歯科衛生士歴15年以上のパートDHです。
患者さんから「口臭を家族から指摘されます、どうすればいいですか?」と聞かれることがあります。
口臭って、人に相談しづらいし、誰でも一度は気になったことがあるテーマだと思います。
もちろん私自身も日々ものすご〜く気になります。
歯科衛生士の仕事は、患者さんのお口の中に近づくお仕事。
マスクをしていても、自分で気づかないうちに”臭い”と思われているかもと不安になることもあります。
昨日は大丈夫そうでも、今日はどうかな?
そんなふうに、日々ちょっとした葛藤を感じながら働いています。
そんな中で見つけたのが、YouTubeで公開されている
「【科学的に最強】歯科医師が教える!口臭・歯磨き粉・マウスウォッシュの正しい使い方」という動画。
歯科医師の先生が科学的な根拠をもとに、とても分かりやすく口臭ケアを解説していました。
何回も動画を視聴して自分の中に落とし込み、歯科衛生士としてふんわり伝えていたことを根拠を持って患者さんに伝えてあげたい”最強”な内容でした。
もちろん、動画でもありましたが、「人それぞれ口の中の環境は違う」ため全ての人に当てはまるわけではないですが、現場目線で感じたことを交えながらまとめてみたいと思います。
口臭チェックはビニール袋で!
これ、意外と知らない方多いと思います。
正直、私自身も両手を口の前に置いて息を吹きかけたり、マスクの中の臭いを嗅いでみたりして確認していました。
とはいえ、臭うかもって思っても、そこまで周りの人に迷惑をかけるほどでもないだろうと思っていたのですが、この動画を観てちゃんと気にしようと思いました。
- 1分間、口を閉じたまま鼻で息をする
- ビニール袋にゆっくり息を吐き出す
- 少し時間をおいてからビニール袋をゆっくり開ける
ただし、自分の口の臭いは意外と分かりにくいものです。
とはいえ、他の人に嗅いでもらうのは勇気がいりますよね。
そんなときは、ビニール袋+デンタルフロスの“ダブルチェック”がおすすめです。
口臭の原因は「歯周病」と「磨き残し」
動画の中で強調されていたのが、口臭の多くは歯周病に由来しているという点。
これは、歯科衛生士として働く中でも実感しています。
私はこのように、患者さんにもいつもお伝えしています。



プラーク(歯垢)の中にいる歯周病菌の中に臭いを発するものがいるので、汚れをハブラシで落とすことが口臭予防になります
科学的な根拠
歯周ポケットの中に溜まった汚れ(プラーク)が分解されると、「メチルメルカプタン」というガスが発生します。
これが、いわゆる“生ゴミが腐ったような臭い”の正体。
つまり、磨き残しや食物残渣が長く放置されると、口臭につながってしまうのです。



時間が経った生ゴミってすごく臭い!それと一緒なの???
クリーニング中に感じる“年代別の口臭あるある”
あくまでも私の主観ですが、長年クリーニングをしていて感じる傾向をまとめてみました
| 年代 | 印象 |
|---|---|
| 小学生以下 | プラークが多くてもほとんど臭わない。 |
| 中学生 | たまに臭う。特に黄色いプラークが付着している場合。 |
| 高校生 | ときどき臭う。プラーク量が多い場合に感じやすい。 |
| 20〜30代 | 時々臭う。飲食を長時間していないと出やすい。 |
| 40代 | 匂う確率が高くなってくる。歯周病が進行し始める時期。 |
| 50代〜 | 匂う確率が非常に高め。クリーニングしても消えにくく、歯周病が中程度や重度に進行していることも。 |
ただし、来院される患者さんはたいていハブラシをしてから来院されます。
日常生活では、もう少し口臭がある方が多いかもしれません。
20歳過ぎると、歯周病は「気づかないうちに進行している」ことが多いので、自分では気にならなくても、周りが先に気づくケースもあります。



じゃぁ、どうすればいいの???



ハブラシで歯を磨くことと併用してデンタルフロスを使ってください
歯間に汚れが残っていると臭いがなくならない。
「歯と歯の間の汚れを落とすこと」は、動画でもしっかり解説されていました。
確かに、おはずかしい話ですが、私のお口も歯周病が進行していると自覚しております。
歯に挟まった食物残渣をすぐには取れなくてお口の中で数時間放置してしまった後にフロスで除去する
「くさっ!」ってなります。
「あ〜これか〜!」と納得しました。
歯磨きが出来ないときはフロスで食物残渣を取り除いてあげるだけで口臭予防になる!
これは使える!
いやいや、患者さんにお伝え出来ます(笑)



口臭ケアの第一歩は
磨き残しを減らすことです!
ハブラシはもちろん、デンタルフロス・歯間ブラシの習慣化がとても大切です
口臭をとても気にされて来院する患者さんは少なくありません。
丁寧に説明しても、どこか納得されていないような表情をされることもあります。
そのような場合、私が勤務しているクリニックでは、大学病院の「口臭外来」への紹介状を提案することがあります。
口臭外来で実際にどのような診療が行われているかは詳しく存じ上げませんが、動画では、口臭の原因となるガスの成分を実際に測定することができるとも紹介されていました。
どんなことでも専門家の意見を聞くことは、自分のためになると感じています。
「胃腸が悪いから口臭がする」は都市伝説⁉
昔から「胃が悪いと口が臭う」と言われることがありますが、この説は科学的には根拠がないそうです。



そうだったの!?



私も知りませんでした(笑)
動画の中でも、「胃からの匂いは上がってこない」とはっきり説明されていました。
実際、寝起きや緊張しているときなど、口が乾燥すると一時的に口臭が強くなることがあります。
これは“生理的口臭”と呼ばれるもので、誰にでも起こる自然な現象です。
私も診療中、就寝中の唾液の循環が低下することで虫歯リスクが高くなるという話は、よく患者さんにお伝えしています。
そして、口臭は水を飲んだり軽くうがいをするだけで解消することが多いそうです。
臭いは水で分解される!
そういえば、普段から定期的にお水を飲んでいる方の口臭が気になったことは、たしかにあまりないかもしれません。



水を飲む・口を潤す
即実践ですね!



これならすぐに出来そう♪
水分摂取は健康にもイイわん!
プラークが少なく、お口の中も比較的きれいな患者さんでも、クリーニング中に喉の奥から吐かれる息に思わず顔を背けたくなるほどの強い臭いを感じることがあります。
そういった場合は、お口の中だけが原因ではなく体の中の不調が関係している可能性もあると動画で解説されていました。
ガム・タブレット・マウスウォッシュは口臭対策になる?
口臭対策アイテムの効果まとめ
| アイテム | 主な働き | 効果の持続 | ポイント |
|---|---|---|---|
| ガム | 唾液の分泌を促し、お口の中を潤すことでガスを分解しやすくする | ★★☆☆☆(短時間〜中程度) | 唾液量が増えることで臭いの原因ガスが薄まりやすい。 |
| タブレット | 香料で一時的に臭いを覆い隠す(マスキング効果) | ★☆☆☆☆(ごく短時間) | 根本的な改善にはならないが、人と会う前などの応急処置に◎ |
| マウスウォッシュ | 一時的に菌を抑え、口内をさっぱりさせる | ★★☆☆☆(短時間) | 殺菌成分や清涼感が強くても、磨き残しがあると効果は続かない。歯磨き後の仕上げ用に。 |
マウスウォッシュは 歯磨きの代わりにはなりません。



汚れを落とすのはハブラシやデンタルフロスです。
動画の中でも、「汚れを落としてから使うのが大前提」とありました。
汚れが残ったままマウスウォッシュをしても、ニオイの原因菌は取り除けないんです。
特におすすめのタイミングは 就寝前。
夜の口の中は乾燥しやすく、菌が繁殖しやすい時間帯です。
寝る前にしっかり汚れを落とし、仕上げとしてマウスウォッシュを使うと朝の口のネバつきや匂いがかなり違います。
また、フロスや歯間ブラシで隙間の汚れを落としたあとに使うとより効果的。



就寝前の私のケア
①研磨剤入りを少量つけてブラッシング
②フロス&歯間ブラシで隙間の汚れオフ
③歯周病予防ペースト or デンタルリンスで仕上げ
歯磨き粉は“自分の口に合うもの”を選ぶのがいちばん効果的



えっ!?そんなにやるの???



若いころはハブラシだけで大丈夫でした。
たまにデンタルフロスを使う程度。
でも、50代に入る少し前から
歯周病の進行が気になるように…。
毎日のケアは、これからの人生にとって本当に大切
動画では、同じメーカー・同じシリーズの製品を使うのがおすすめと紹介されていました。
歯磨き粉とマウスウォッシュの成分が、互いに作用を打ち消してしまうことがあるというのは驚きでした。
異なるメーカーやシリーズの製品を使う場合は、最低でも5分ほど時間をあけて使用するのが良いとのことです。
成分同士が反応して効果を打ち消してしまう可能性があるため、少し間をあけることでそれぞれの効果をしっかり活かせます。
歯磨き粉は“朝・昼・夜”で使い分けるのが理想
動画の中で興味深かったのが、スキンケアと同じで歯磨き粉を時間帯で使い分けるという考え方。
- 朝:虫歯予防タイプ(フッ素配合)
- 昼:ステインケア・ホワイトニングタイプ
- 夜:歯周病ケアタイプ
確かに、患者さん一人ひとりのリスクは違います。
私自身も「歯磨き粉ジプシー」ですが、最近は目的を意識して選ぶことをしています。
先日、某ドラッグストアのレジ横に用途別の歯磨き粉がずらりと並んでいました。
少しお高めの価格設定でしたが、購買意欲をそそるポップに惹かれて、つい試してみたくなりました。
ただし、強い研磨剤入りの歯磨き粉は注意!
歯や補綴物(被せ物)を傷つける原因になるので、自分の歯の状態に合ったものを選ぶことが大切です。



ハブラシも柔らかめのものを選ぶようにしてください。
舌と歯間のケアが最強の口臭予防
そして最後に忘れてはいけないのが、舌と歯と歯の間のケア。
舌苔(ぜったい)が厚くなると、そこに菌が住みつき、それが口臭の原因になります。
舌ブラシや湿らせたガーゼで“やさしく”奥から手前に動かすのがポイント。強くこすりすぎると、粘膜を傷つけて逆効果になります。



今まで「ハブラシで軽く掃除してください」って伝えていましたが…
これからは、
舌ブラシや湿らせたガーゼで優しくケアするようにお伝えします
また、歯と歯の間の汚れ(プラーク)も、
毎日のフロスや歯間ブラシでこまめに落とすのが基本。
これをやるだけで、口臭の8割は防げると言われています。
まとめ|口臭ケアは“習慣”で変わる
口臭は「一瞬で直す」ものではなく、日々の習慣で改善できるもの。
科学的な知識を知り、正しいケアを続ければ、誰でも清潔で健康なお口を保てます。
ぜひ動画もチェックしてみてください
健康はお口から。
歯科衛生士として、そして同じように働く皆さんにも、この動画の内容がきっと役に立つと思います。



