パートDHこんにちは、歯科衛生士歴15年以上のパートDHです。
前回、歯科衛生士の学校の学費について書きました。今回は、一度社会人として働いてから歯科衛生士を目指す方に向けた話です。
先日、歯科助手さんから「歯科衛生士の学校に行きたい」という相談を受けました。
働きながら貯めたお金と、国の助成を使って通うつもりだったそうです。ところが、調べてみると、働き始めてまだ日が浅いため、助成の対象にならないことがわかりました。
結局、条件を満たす1年後を目指すことにしたそうです。
私が学校を選んだころは、ネットで気軽に調べられる時代ではありませんでした。助成の制度があったのかもしれませんが、どう調べたらいいのかもわかりませんでした。
あとで調べてみると、今回紹介する給付金ができたのは2014年。私が学校に通っていたころには、まだありませんでした。
今は、使える制度がたくさんあります。知っているかどうかで、学費の負担が大きく変わります。


雇用保険で学費が戻ってくる「専門実践教育訓練給付金」
正式には「専門実践教育訓練給付金」という、雇用保険の制度です。
国が指定した学校の講座に通って修了すると、払った学費の一部があとから戻ってきます。歯科衛生士の専門学校も、多くが指定を受けています。



学費が安くなるってこと?



最初に払って、あとから戻ってくる仕組みです。条件をそろえると、最大で8割が戻ります
どれくらい戻ってくる?
戻ってくる割合は、3段階に分かれています。
| タイミング | 戻る割合 | 1年あたりの上限 |
|---|---|---|
| 在学中(6か月ごと) | 学費の50% | 40万円 |
| 卒業後、資格を取って1年以内に就職したら | +20%(合計70%) | +16万円 |
| 就職後の給料が、入学前より5%以上上がったら | +10%(合計80%) | +8万円 |
※2024年10月1日以降に入学した方の場合です。
最後の10%は、「学んだ結果、収入が上がった」ことへの上乗せです。国が学び直しで給料を上げることを応援していて、2024年10月から加わりました。
3年制の学校なら、最大で合計192万円まで戻ってきます。
対象になるのは、学校に払う入学金と授業料です。教科書代や実習着などは対象外になることが多いので、学校に確認してください。
計算してみると
たとえば、入学金と授業料が3年間で180万円の学校に通った場合です。
| 段階 | 戻ってくる額 |
|---|---|
| 在学中(50%) | 90万円 |
| 資格を取って就職(+20%) | 36万円 |
| 給料が5%以上アップ(+10%) | 18万円 |
| 合計(80%) | 144万円 |
180万円のうち144万円が戻ってくるので、実際の負担は36万円になる計算です。



そんなに戻ってくるの!?



歯科助手から歯科衛生士になれば、給料が上がることも多いので、最後の10%も狙いやすいですね
使える人の条件
雇用保険に入っていた期間
- 初めてこの制度を使う人:雇用保険に2年以上入っていること
- 2回目以降の人:3年以上
前の職場の期間も、間があいた期間が1年以内なら合わせて数えられます。
2年は「入学する日(学校の開講日)の時点で満2年」で数えます。1日でも足りないと対象外になるので、ぎりぎりの人はハローワークで確認しておきましょう。
今の働き方
- 今働いていて、雇用保険に入っている人
- または、仕事を辞めてから1年以内の人
妊娠・出産・育児などですぐに通えない場合は、期間を延ばす手続きもあります。
学校
通う学校の講座が「専門実践教育訓練」に指定されていることが条件です。学校のホームページの学費や支援制度のページに書かれていることが多いので、確認してみてください。
申し込みは入学の2週間前まで
ここが、いちばん大事なポイントです。
入学の2週間前までに、ハローワークで手続きをしておく必要があります。入学してからでは間に合いません。
手続きの前に、「訓練前キャリアコンサルティング」という面談を受けて、「ジョブ・カード」という書類を作ってもらう必要もあります。早めにハローワークに相談しておきましょう。
申請を忘れるともらえない!期限の一覧
この給付金は、自分で申請しないともらえません。しかも、申請の期限がかなり短いのが落とし穴です。
| いつ | 何の申請 | 期限 |
|---|---|---|
| 入学前 | 受給資格の確認(ハローワーク) | 入学の2週間前まで |
| 在学中(6か月ごと) | 50%分の受け取り | 6か月の区切りの翌日から1か月以内 |
| 卒業したとき | 最後の6か月分 | 卒業日の翌日から1か月以内 |
| 資格を取って就職したら | +20%分 | 資格取得・就職日の翌日から1か月以内 |
| 就職して6か月たったら | +10%分(給料アップ) | 就職から6か月たった日から6か月以内 |
期限を過ぎると、原則としてその回の分は受け取れません。
- 入学前の手続きを忘れると、全部もらえません。 そのあとの申請はすべてできなくなります。
- 在学中は6か月ごとに申請が必要です。3年制なら6回あります。
- 就職後の申請も忘れやすいです。国家試験に受かって、新しい職場で働き始める忙しい時期と重なります。
入学したら、6か月ごとの申請日を全部カレンダーに入れておきましょう。領収書などの書類は、1つのファイルにまとめて保管しておくと安心です。郵送でも申請できます(期限内の消印なら有効)。



本当に、知らないと損する制度です。申請日はカレンダーに入れておきましょう
仕事を辞めて通う人は、生活費の給付も
45歳未満で、仕事を辞めて学校に通う人は、「教育訓練支援給付金」も受け取れる場合があります。
在学中、失業保険(基本手当)の日額の60%が支給されます。学費だけでなく、生活費の支えにもなる制度です。
ただし、この制度は2027年3月31日までに入学する人が対象です。2027年4月以降に入学を考えている方は、最新の情報を確認してください。
「1年待つか、今行くか」問題
最初にお話しした歯科助手さんは、条件を満たすために1年待つことにしました。
これは、とても悩ましい選択だと思います。
| 1年待つ | 今すぐ行く | |
|---|---|---|
| 学費 | 最大8割が戻ってくる | 給付金なしで払う |
| 働き始め | 1年遅くなる | 1年早く歯科衛生士として働ける |
| 気持ち | 1年の間に変わるかもしれない | 勢いのまま始められる |
1年早く歯科衛生士として働けば、そのぶん歯科衛生士の給料を受け取れて、経験も1年早く積めます。
一方で、給付金の金額は大きいので、周りの人が「待ったほうがいい」と言う気持ちもよくわかります。



1年って長いですよね。気持ちが変わることもあります。給付金の金額だけでなく、1年早く働けることの価値もあわせて考えてみてください
どちらが正解かは、その人の状況によって変わります。大切なのは、制度を知ったうえで、自分で選ぶことだと思います。
働きながら通える学校もある
学校によっては、夜間部や午後部など、働きながら通えるコースもあります。
仕事を続けながら通えれば、収入を保ちながら資格を目指せます。気になる学校に、どんなコースがあるか確認してみてください。
夜間部も、給付金の対象になっていることが多いです。ただし、給付金の指定はコース(昼間部・夜間部など)ごとに受けているので、「〇年度入学の夜間部は対象か」を学校に確認しておきましょう。
昼は仕事、夜は学校という生活が3年続くので、体力的には大変です。無理のない働き方も一緒に考えておくと安心です。
学校によっては、今働いている歯科医院を実習先にできるところもあります。慣れた職場で、知っているスタッフのもとで実習できるのは心強いですね。
ただし、実習の時間は学生としての「授業」の扱いなので、基本的に給料は出ません。実習が多い時期は収入が減ることも見込んでおきましょう。実習と勤務の時間の分け方は、入学前に院長先生や学校と相談しておくと安心です。
まとめ|制度を知っていれば、選べる道が増える
- 雇用保険の「専門実践教育訓練給付金」で、学費(入学金・授業料)の最大8割が戻る
- 3年制なら最大192万円
- 初めて使う人は、雇用保険に2年以上入っていることが条件
- 申し込みは入学の2週間前までに、ハローワークで
- 45歳未満で仕事を辞めて通う人は、生活費の給付も(2027年3月31日までに入学する人)
- 1年待つか今行くかは、給付金の額と、1年早く働けることの価値を比べて決める
私のころは、こうした制度を調べる方法もわかりませんでした。今は、知ってさえいれば使える制度がたくさんあります。
高校生向けに、学校ごとの学費を比べた記事も書いています。学校選びの参考にしてください。
▶ 歯科衛生士の学校、学費はいくら?公立なら3年間で80万円台の学校も
参考にしたページ

